軽小説掲示板(asWOCI5IM)

「痛い」を主題とした、恥っずかし~軽小説――所謂ラノベ――を上げてくコーナー(笑)です!日々更新はしないと思うけど、ノートに書いたのを更に痛く加筆して上げるのを主にやりますww

Prime Numbers I ~No die,No cry~ 「17」 II

 三一叶と楽しい折檻(?)をしながら、俺は自分のクラス――「鉛筆クラス」の戸を、払うように開け放つ。
「お、十七波クン、おっはー」
 そう言ってこちらに近づいてきたのは、格付け「13」の真一三だ。コイツが三一叶の彼女である。
「よう、真一三。今日もお前のツレがだなあ――」
「おいコラお前酷いことしたのはお前――」
「あはは、仲良しだねえ」真一三はニッコリと笑う。子供と大人の中間ほどの顔つきの彼女の笑顔は、とても素敵だと思った。
「ヤダなあ、照れるよ十七波クン」彼女は、口に出していない俺の地の文を読んで言った。

 俺達「番号的人種」には、一人一人に特殊な能力が備わっている。NNは大抵がIQ――番号的人種達の間では「脳力」と呼ばれる――の発達のみだが、PNや√では、それに加えて更に能力が備わる。
 真一三を例にすると、彼女の能力は「心物箱<メールアプリ>」、と呼ばれるものだ。
 空気振動によらぬ方法で相手に話しかけたり、相手の心の内を読み取ったり出来る。
 勿論、俺や三一叶にも能力がある。それはその内分かるだろう。

 俺達の会話を、外から聞いている奴がいた。
 黒味の強い長い紫髪に、Fはあろうかという大きな胸。長い手足に、感情の
抜け落ちたような表情のない顔。

 格付け「23」――夜二三は、淀んだような瞳で、こちらを窺っていた。

Prime Numbers I ~No die,No cry~ 「17」 I

 十狂都立PN学園は、その名の通り「Prime number」――素数の為にある私立の学園だ。だが素数以外の、通常(NN)や、累乗(√)も在籍している。
 この世界には番号によるヒエラルキーがあり、序列は上から素数、累乗、通常、虚数(IN)だ。
 しかし校内で差別は一切起こらない。かつての旧人類達に溶け込む際に、全ての番号的人種は差別の苦しみを味わったからだ。つまりヒエラルキー共存時代の名残の形だけで、大した意味はない。一部の宗教信仰者は、「素数万歳!」などと唱えてはいるが。
 俺――格付け「17」、セブントこと十七波は、PN学園の2階にある、自分の教室を目指して廊下を歩いていた。
 年は今年で17になる。全く17に縁がありすぎて涙が出そうだ。
 俺は自分が嫌いだ。自分の立場が何より嫌いだ。死ぬことの出来ない地獄のループにはまって抜けだせないのだ。勘弁してくれ。
 そんなことの思考ループを5度繰り返した辺りで、
「おーい!十七波!!まだ生きてたのかさっさと氏――うぎゃうはぁ!?」
 バカの極みこと格付け「31」――三一叶が軽口を叩きながらこっちに走ってきたので、俺は龍●如くも真っ青のドロップキックをお見舞いする。…クリティカル!
「相変わらず朝からうざいなお前」
「…ってえ…ったく、彼女なしDT()」
 ゴスッ!!
「うっっがあっ!?テ、テメエなあ…」
「うるさい氏ね」
「ケッ…」
 コイツは彼女持ちのリア充野郎だ。あとRPG風に言うと、「防御極振り」な奴で、俺がいくら虐待しても倒れやしない。本当にうざい。
 俺はまだ懲りずに突っかかってくる三一叶にボディーブローを決めつつ、教室へ向かうのだった。

 

Prime Numbers I ~No die,No cry~ プロローグ「終を奏でる素数」2/2

素数は、かつての貴族のようなもので、生まれ持ったその数字位しかすがるもののない、空虚な人種だ。俺は、あろうことか、その空虚な人種に格付けされてしまったのだ。
 俺の輪廻転生史上最大の屈辱だろう。10歳でこの事に気づいた俺は、即刻首吊りして転生しようと実際に首を吊ったのだ。が、しかしーー死ねなかったのだ。何故か。
 俺は嫌でもその可能性に辿りついてしまった。嘘であって欲しかった。「番号的人種」はーー不死、だったのだ。
 死ねない現実を知ってからも、俺は足掻き続けた。七夕の短冊に死にたいと書いたりもした(我ながら阿呆だと思う)。
 
それが、今この瞬間叶ったのだ。

だが、俺は「よっしゃあ!!」でもなく、「ついにキタ!!」でもなく、こう、思ったのだ。

ああ、俺、やっぱりーー死にたくなんて無かったわ…

…と。

     To be continued…
 

Prime Numbers I ~No die,No cry~ プロローグ「終を奏でる素数」1/2

 2317年11月29日19時57分31秒、俺はーー死んだ。
 かつての俺なら、今までで一番待ち望んだ死<モノ>だっただろう。数字として生まれ、数字として育てられ、数字として学んできた俺ーーセブントであったならば。
 セブントーーそれは即ち「17」 である。この機械みたいな名前は、「前」人類が突然生殖能力を失ったことによる産物だ。23世紀の後半、何の前触れもなく生殖能力を失った全人類はーー10年も経たぬ間に滅んでしまった。
 ただ、前人類はその数年の間に、「番号的人類<ナンバリング・クローン>」を造りだし、世界中に放つことで、世界に人類を存続させようとした。
 だが、それが成したのは、「格付け<ナンバリング>」などと言うふざけた差別と、「素数」が頂点となる、殺戮社会に成り果てた未来である。