Prime Numbers I ~No cry,No die~ 「23」 II
2317年11月28日18時50分19秒、俺は――
――人生の分岐を、選択した。
「詳しく聞かせろ。考えるのはそれからだ」
俺は目の前に立つ夜二三に、ニヤリと笑って言う。
夜二三は少し逡巡し、単刀直入に言い放った。
「――明日、世界が、滅びマス」
……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………はっ!?
「待て待て待て待て待て、え、え?」
「デスから、明日、世界ガ、終わりマス」
俺は超展開過ぎて(よくよく考えたらあり得ない話では無いが)腰を抜かした。情けないこと極まりない。
世界が終わる。そんなこと言われても実感が湧かない。
夜二三が嘘を吐いている可能性はある。
彼女の能力は、抜きん出た魔法適正と、そして――それに付随する、圧倒的なまでの脳力。
彼女も含めた、俺達PNは、NNや√に比べて、脳力が高い。旧人類の単位では大体IQ500程である。
しかし、彼女はそれに加えて、能力としての脳力増強が為されている。それによる彼女の脳力はIQ換算で1000を優に超えるという。
簡単な話、彼女が嘘を吐いたとしても、俺達にそれを嘘を証明できない――整合化が上手すぎるのだ――。
彼女は、やはり虚ろな瞳をこちらに向けたままだ。その内心を、同じPNであっても見透かせない。
「…十七波サン?」
「………」反応に窮した俺は――
――逃げた。その姿に、もう既にセブントの影は無かった。